TRNSYS建物モデルと日射
建物のシミュレーションで日射の扱いの解説です。
一般に日射のデータは直達日射、天空日射で扱われますが、TRNSYS/Type56では地表面の反射分を含めて考慮しています。(地表面と表現していますが、周辺の地形や建物などを含めた反射分を扱います)
反射分の設定はType56/Input/GRDREFで反射率として定義します。Inputで用意されているので、時間や気象条件、例えば積雪があれば反射率を上げるといった使い方ができます。余談ですが、GRDREFの設定は忘れがちです。周辺の状態によりますが、一般的には0.2が使われます。(デフォルトは0なので注意してください)
このれらの日射に対して、建物自身の形状や遮蔽物の影響を含めて計算が行われます。
日射と建物
太陽からの日射は何も障害物がなければ、直接建物のに届きます。ここまではシンプルな話です。
建物のモデルでは外壁(屋根などの外皮を含む)と開口部で日射扱いが異なります。まず外壁に関しては下の図のように障害物のない条件で扱われます。(厳密に言うと、壁の遮蔽率の指定も可能です。遮蔽条件の計算が工夫できれば処理することができます。)
開口部と日射遮蔽物
開口部に関しては、遮蔽条件を細かく考慮することができます。
日射を遮る遮蔽物、例えば庇があるケースでは図形として作成して考慮可能です。(この図だと直達日射の影響だけに見えますが、天空日射も考慮しています)
日射遮蔽物はSketchUp/TRNSYS3dのモデリングではShading Objectで扱っている図形がそれです。
庇や軒の他、近隣の建物などによる日射の遮蔽状態を考慮する事ができます。
開口部の遮蔽はShading Matrix(SHM)で扱われます。太陽の位置ごとの遮蔽状態が計算されています。Shading MatrixはtrnViewBUIで確認することができます。
ルーバーやカーテン、ブラインド
前段までは建物外側の遮蔽でした。さらに開口部にルーバーやカーテンなど日射遮蔽装置がある場合、これらも考慮されます。
設定としては外側はExternal shading factor、室内側の遮蔽はInternal shading factorで扱います。遮蔽物の透過率から遮蔽率として指定可能です。例えば室内側のカーテンの透過率が45%なら、Internal shading factor 0.55として設定します。
まとめ
話がちょっと長くなっていますが、太陽から届く日射から始まって、以下の順で処理されていきます。
- 地表面などの反射分の考慮
- 軒や周辺建物の遮蔽の考慮
- 開口部のルーバーやカーテンの遮蔽率
最終的に壁や窓へ届いた日射を使って計算が行われます。
動作環境
以下の環境で動作を確認しています。
- Windows11 Pro(64bit, 23H2)
- TRNSYS18.06.0002(64bit)
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TRNSYSの地表面反射日射の扱われかたは? | 建築環境工学系日記