TRNSYSで機器特性を扱うパフォーマンスデータファイル
TRNSYSのチラーやエアコンのコンポーネントでは、機器特性をパフォーマンスデータファイル(Performance data file)で定義します。実測データ、コンポーネントによってはcatalog data approachという言い方をしていて、仕様書などのデータからの入力を想定しています。
以前の記事でチラー(Type118 Air-Cooled Chiller)のプラグインを開発していますが、このプラグインで編集していたのがパフォーマンスデータファイルです。
Performance data fileは割とよく使われるデータ形式です。エアコン(Type119)、DXコイル(Type136)、太陽熱集熱器(Type72)など、さまざまなコンポーネントで機器特性を定義するファイルとして使われています。
パフォーマンスデータファイル概要
以下はType118 Air-Cooled Chillerのパフォーマンスデータファイルの抜粋です。
4.44 5.56 6.67 7.78 8.89 10 ! Chilled Water Temperatures (C)
23.89 29.44 35 40.56 46.11 ! Ambient Air Dry-Bulb Temperatures (C)
1305246 3.7863 ! Capacity (kJ/h) and COP (All Power) at 4.44/23.89
1251314.4 3.2913 ! Capacity (kJ/h) and COP (All Power) at 4.44/29.44
1196623.2 2.8545 ! Capacity (kJ/h) and COP (All Power) at 4.44/35
1135348.8 2.4174 ! Capacity (kJ/h) and COP (All Power) at 4.44/40.56
1073314.8 2.0679 ! Capacity (kJ/h) and COP (All Power) at 4.44/46.11
1339048.2 3.8739 ! Capacity (kJ/h) and COP (All Power) at 5.56/23.89
1284990 3.3495 ! Capacity (kJ/h) and COP (All Power) at 5.56/29.44
1231691.4 2.9418 ! Capacity (kJ/h) and COP (All Power) at 5.56/35
ご覧のように数字が並んだテキスト形式のファイルです。この例では、はじめの2行が水温(Chilled Water temperatures)と外気温(Ambient Air Dry-Bulb Temperatures)です。
3行目以降は水温、外気温の組み合わせに対する能力(Capacity)とCOPの値がつづきます。
順番に見ていくと、1行目の1つ目の項目(水温)と2行目の1つ目の項目(外気温)に対応する能力とCOPが3行目。
次は、1行目の1つ目の項目(水温)と2行目の2つ目の項目(外気温)に対応する能力とCOPが4行目。
以降、同じように1行目の1つ目の項目、2行目の3つ目の項目に対応する能力とCOPが5行目とつづいて、すべての組み合わせが定義されます。
パフォーマンスデータファイルを参照するコンポーネントでは、ここで定義された条件を補間処理して処理を行います。
コンポーネントによって、多少行数や対応する項目数は変りますが、基本的にどのコンポーネントでもこの形式で定義されています。(冒頭の行が3行や4行になったり、対応する値の組み合わせが増えたり減ったりします)
パフォーマンスデータファイル詳細
パフォーマンスデータファイルの仕様は、TRNSYSのInterpolateData()関数の説明にまとめられています。
参考:7.4.4.6. InterpolateData (formerly DynamicData, DYNDATA and DATA)
詳しく説明されていますが、少々長いのでポイントだけまとめるとパフォーマンスデータファイルは図のような構造です。
独立変数の行数や項目数は、通常コンポーネントのParamterで指定します。
例) Type118 Air-Cooled Chiller
Type118を例にすると、下の図のようなファイルになっています。
独立変数や従属変数の数はコンポーネントによって変わりますが、基本的にはこれと同じ構造です。
動作環境
以下の環境で動作を確認しています。
- Windows11 Pro(64bit, 21H2)
- TRNSYS18.04.0001(64bit)