TRNSYS Type77で地中温度
駐車場や倉庫の土間床など、地面側の温度の影響が大きいと想定されるモデルでは、何らかの方法で地面側の温度を計算します。
いくつか方法が考えられますが、今回はType77を使った設定例のご紹介です。
Type77 Simple Ground Temperature Model(簡易地中温度モデル)
Type77 は、地表面の年間平均温度、温度振幅、最低温度の発生日から地中温度を計算します。(厳密にいうと土壌の密度、比熱も必要です。これらについては別途文献などで建設地の状態を確認して下さい)
Mean surface temperature(地表面平均温度)
地表面の平均温度は、Moreボタンで説明を確認すると、通常は年間平均気温と同じ値でいいことが分ります。
ちょっと余談になりますが、最近の機械翻訳ツールはかなり自然な日本語に訳してくれるので助かります。(図はDeepLの機械翻訳例)
Amplitude of surface temperature
地表面の平均温度からの振幅。地表面の平均温度と最高温度の差分で指定します。地表面の最高温度は、この例では最高気温と同じとして設定します。
Time shift
地表面の最低温度が発生する日の年始から時間差。日単位で指定する点に注意して下さい。年間の通し日で指定するので、例えば2/1が最低になるのであれあば31+1で32を指定します。この例では最低気温の発生日として設定します。
コンポーネントの準備
年間平均気温、最高気温、最低気温を計算します。この計算には気象データリーダー、Periodic Integrator、Printerの3つを使用します。
気象データリーダー
建物モデルで使用する気象データに合せて気象データリーダーを用意します。この例ではType99-AMeDASを使用します。
Type55 Periodic Integrator
平均気温、最高気温、最低気温の計算に使用します。年間平均を計算するため、次のように設定します。
- Integrate or sum input
平均値を計算するため-1を指定。
- Duration for input
集計する間隔。年間平均なので8760hを指定。
- Reset time for input
平均、最高、最低値の計算をリセットする間隔。これも8760hを指定。
Type25a
計算結果の出力用。
- Delimiter
あとからExcelで扱いやすいように2(カンマ区切りのCSV形式)を指定します。
- Output File for printed results
出力ファイルの名前もExcelで扱いやすいようにCSV形式で指定します。
コンポーネントの接続
コンポーネント間は次のように接続します。
Type99-AMeDAS → Type25a
Type99-AMeDAS → Type55 Periodic Integrator
Type55 Periodic Integrator → Type25a
Settings
年間平均気温を計算するため、Simulation stop timeとtime stepを図のように設定します。
計算実行と計算結果
実行後に計算結果をExcelで確認すると、図のようになっています。(見やすいように加工しています)
黄色の部分がType77で使用する項目です。
- 平均気温(Mean) 16.09℃
- 最高気温(Maximum) 35.24℃(年間平均気温からの振幅 35.24℃-16.09℃=19.15℃)
- 最低気温(Mnimum) -0.84℃(通し日は31日≓728/24、小数点以下は切り上げ)
Type77の設定
上記の値を使ってType77を設定します。Depth at point(計算する土壌の深さ)は、ここでは1mとしています。※
※建物の真下の地面の場合、上に建物が乗っている点を考慮して、ある程度の深さの温度としています。地下階の駐車場などの地表面から下がった位置の温度を計算する場合は、この値を調整して下さい。
計算結果
計算を実行すると年間の地中温度が出力されます。この例では比較のため外気温も出力しています。外気温の変動に沿って地中温度が計算されているのが分ります。
サンプルプロジェクト
サンプルのダウンロードはこちらから!
Type77 Simple Ground Temperature Model
動作環境
以下の環境で動作を確認しています。
- Windows11 Pro(64bit, 21H2)
- TRNSYS18.04.0000(64bit)
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