TRNSYSで床暖房を制御する
TRNSYSウェビナーで床暖の制御について質問を頂いたので簡単な制御のモデルを考えてみました。
Type56, Active Layer
TRNSYS,Type56には温水式の床暖房を想定したActive Layerという仕組が用意されています。設定は図のように温水の温度、流量を指定します。(冷水を使って放射冷房の計算にも使用できます)
基本的にはこの温水の温度、流量を制御してあげれば良さそうです。(実際に温水式の床暖房がどのような制御を行っているか分らないのですが、以下、流量で制御している前提で話を進めます。温水式の床暖房の仕組みに詳しい方がいらしたら、コメントいただけると幸いです。)
考え方としては空調のモデルと同じで、室温をサーモスタットなどで判定、流量を制御します。下の図は空調のモデルですが、Type56で計算された室温をサーモスタットで判定、空調システムを制御しています。
これと同じ方法で床暖房の制御を考えてみます。
床暖房の制御
Active Layerの設定
まずは温水の流量をType56の外から制御するため、流量をInputに設定します。図のようにinlet mass flow rateの項目に新しいInput(InletMassFlow)を追加して設定します。
ついでに水温も扱えるようにinlet temperature(入口温度)も新しいInput(InletTemp)を追加します。
サーモスタットとポンプ
多数室のモデル(例として2室モデル演習のモデルを使っています)を用意して、室温の判定用にサーモスタット、流量を変えるためにポンプを配置して接続します。
Type56→Type166 Thermostatの接続は図のように室温をMonitoring temperatureへ接続します。これでサーモスタットが条件に応じて、暖房、もしくは冷房の制御信号を出力してくれます。(今回はサーモスタットの設定はデフォルトのままなので、20℃制御になっています)
次はサーモスタットからポンプへの出力です。暖房用の制御信号(Control signal for heating)をポンプのControl signalへ接続します。これで、信号を受け取ったポンプ側では温水を送り出してくれます。
この例ではポンプは水温40℃、流量は1000kg/hとしています。(水温、流量は適当に決めています。このあたりは想定される床暖房の仕様を確認して適宜調整を行って下さい。)
ポンプからType56への接続は図のようにポンプから水温(Outlet fluid temperature)、流量(Outlet flow rate)を先ほどActive Layerに設定したInletTemp, InletFlowRateへ接続します。
これで室温に応じて、Active Layerに流れる温水の量が制御できるようになりました。
実行例
図は実行した結果です。室温とActive Layerの負荷を出力しています。室温が20℃を下回ったあたりからサーモスタットの信号を受け取ったポンプが動作し始めます。グラフを見ると室温が下がるとActive Layerの負荷※が発生、室温が上がると負荷が無くなっている状態が確認できます。
※Active Layerの暖房負荷は負の値で出力されます。このため下向きのグラフとして表示されます。
簡単な例ですが、室温でActive Layerの制御のモデルができました。
実際、床暖房の温度制御を室温で行うのか怪しいのですが、そのあたりは床暖房の仕様を確認してモデル化を行って下さい。
サンプルのダウンロードはこちらから↓
床暖房(Active Layer)の制御サンプル
動作環境
以下の環境で動作を確認しています。
- Windows10 Pro(64bit, 21H1)
- TRNSYS18.04.0000(64bit)