TRNSYS3Dでドアを作る
TRNSYSの多数室モデル(Type56/TRNBuild)では、壁とドアはどちらもSurfaceとして扱います。壁とドアを区別してないというか、材料構成が異なるSurfaceとして扱うことになります。
ドアの断熱性を考慮する場合などは、通常の壁と同じようにドアをモデリングして、壁とは異なる材料を割り当てます。
※図をクリックすると拡大表示されます。
TRNSYS3Dでモデリング
例として、図のような基礎の上に2部屋が載ったモデルにドアを作成します。すでにガイド(下書き線)を描いていますが、この位置に幅1m、高さ2.5mのドアを作成します。
線ツールを使って、ドアの枠に沿って線を描いて行くと。。。
下の図のように「窓」になってしまいます。
これはTRNSYS3Dでは壁の内側に包含される図形は自動的に「窓」と認識されてしまうためです。このようにドアを作ろうとしても窓と見做されてしまうため、ドアを作るには一工夫が要ります。
この例だと壁がコの字状になっているので包含されていないように見えますが、ドアの下端と重なっているため、包含していると判断されます。
まれに上手く壁ができることがあるんですが、TRNBuildへImportすると、面積が正しく認識されなかったり、開口部が塞がっていたりと、変なデータができあがります。このためドアは後述する方法で作成してください。
(余談ですが、結果的に掃出し窓が出来上がっているように見えます。これはこれで別の問題があります。それについては別の機会に解説します。)
正しいドアの作り方
ドアの図形が壁と包含関係にならないように、ドアを作成する場合は次のように壁を分割して作成します。
- まず、壁を切断するように線を描く(これで壁が2つに分割されます)
- 次に、ドアの上端、
- ドアの縦枠を描く(これでドアの部分が切り出された状態になります)
実際に順を追って作図すると、次のようになります。
ドアのConstruction typeを登録
次にドア用に新しいConstruction Typeを追加して、ドアへ割り当てます。
- メニューから[機能拡張]、もしくは[プラグイン]-[Trnsys3d]-[New Construction]の順で選択
- 次に、新しいConstruction Typeの名前、ここではEXT_DOORを入力して、OKボタンをクリック
以上で、新しいConstruction Typeが登録されました。
この段階では登録だけなので、デフォルトの材料と同じ内容が割り当てられています。TRNBuildへImportしてから適切な材料を設定してください。
次に新しく作成したConstruction typeをドアの図形へ割り当てます。
- ドアの図形を選択した状態にする
- Object Infoダイアログを表示して、Constructionの項目で、EXT_DOORを選択する
拡張子.idfを指定してファイルを保存してモデリングは終了です。
TRNBuildへインポート
作成したIDFファイルをTRNBuildでImportして、ドアの確認をします。
下の図はtrnViewBUIで表示した画面です。ドアの図形が確認できます。
壁の分割線を消したくなりますが。。。
矢印の部分の線(壁の分割線)を消したくなりますが、絶対に消さないでください。消すと上述したように、窓と認識されたり、別の壁(壁の手前にドアの大きさの壁が重なった状態)として認識されたりします。
これはデータの仕様上、インポートではエラーとして認識されない、厄介なデータです。くどいようですが、絶対に消さないでください。
まとめ
ドアの作り方のポイントは以下。
- 壁の内側に包含される壁(ドア)を作ると「窓」と認識される
- 壁を分割して(包含されないように)ドアを作図する
- ドアのConstruction TypeはTRNSYS3Dで作成、設定はTRNBuildで行う
動作環境
以下の環境で動作を確認しています。
Windows10 Pro(64bit, 20H2)
TRNSYS18.02.0002(64bit)