TRNBuildインポートエラーと対策

インポートのエラーと言うことで、コンテナ船の写真を使って見ました。(エラーっぽい写真って、なかなか無いんですよね)

TRNSYS多数室モデル

多数室モデル(温熱モデル)のシミュレーションでは、建物形状をTRNSYS3Dでモデリング、TRNBuildへインポートして使用します。(TRNBuildで直接計算用のデータを作ることもできます。最近はやらないですけどね)

多数室モデルのデータ作成

3Dのモデルが出来上がって、いざTRNBuildで[File]-[Import TRNSYS3d file…]でTRNSYS3Dのファイルをインポートすると、図のようなエラーメッセージが表示される事があります。

 [File]-[Import TRNSYS3d file...] のエラー
[File]-[Import TRNSYS3d file…] のエラー

TRNBuildはTRNSYS3Dのファイルをインポートする際に、形状が適切に作成されているか、Zone、Airnodeの接続関係が適切に設定されているかなど、データの確認を行います。もし、問題が見つかれば図のようなエラーメッセージを表示します。

エラーメッセージの読み方

まずはエラーメッセージの読み方から。

エラーメッセージ
エラーメッセージ

① Surf-No.

エラーの発生している壁や窓のSurface番号が表示されます。

② Zone, Airnode

エラーの発生しているZone, Airnode が表示されます。

③ Description

エラーの説明(エラーメッセージ)。エラー原因が表示されます。

エラーメッセージと対策

以下、エラーメッセージの原因と対策です。

Wallarea <= Windowarea

壁と窓の面積が同じ、もしくは窓の面積が壁よりも大きいのがエラーの原因です。

形状として窓は壁の中に収まっている必要があるため、「壁の面積>窓の面積」の関係になっている必要があります。

この例では、Surface No. 7, ZoneはROOM1で発生しています。

TRNBuildで該当するZoneのSurfaceを確認したのが下の図。

Surface No.でエラーの発生箇所を確認
Surface No.でエラーの発生箇所を確認

壁が4.5㎡、窓が4.499㎡で若干面積は窓の方が狭くなっています。これなら問題なさそうに見えます。ところがTRNBuildでは小数点以下2桁で比較を行うらしく、同じ面積と見做されます。

下の図のように壁の大きさギリギリまで窓を作ってしまうと、エラーが発生する可能性が高くなります。

窓の大きさを一回り小さくするなど、壁の面積と窓の面積が同じにならないように修正して下さい。

壁の大きさぎりぎりまでの窓
壁の大きさぎりぎりまでの窓

adjacent window(additional windows) not found

内部開口(adjacent window)の接続先が見つからないためエラーが発生しています。TRNBuildでエラーの発生しているZone ROOM1 Surface No.11 を確認すると、「Category:」が「ADJACENT」の窓 (内部開口) になっています。

ところが、内部開口の隣接しているZoneの項目「adjac. to airnode:」は「undefined」(未設定)の状態です。

ROOM1,Surface No. 11
ROOM1,Surface No. 11

TRNSYS3Dのモデルへ戻って確認すると、2つのZoneの間の開口があります。(赤い丸の部分)

内部開口
内部開口

この窓の設定を「Object Info」で確認すると、通常の窓の Construction が割り当てられています。(内部開口として設定されていません)

内部開口が通常の開口に設定されている
内部開口が通常の開口に設定されている

この場合は、内部開口用にConstructionを変更します。次のいずれかの方法で変更を行います。

  • Construction を 「ADJ_WINDOW1」に変更する
  • Surface Matchingを再実行する

adjacent wall not found

ある壁で隣接するZoneが見つからないため、エラーが発生しています。

TRNBuildでエラーの発生している、ROOM2 の Surface No. 17 のSurfaceを確認します。

壁が 隣接しているZoneの項目「adjac. to airnode:」 が「undefined」(未設定)の状態です。

 ROOM2, Surface No. 17
ROOM2, Surface No. 17

TRNSYS3DでROOM2の壁を 「Object Info」 で確認すると、外壁が「間仕切り」として設定されています。おそらく、誤って設定したか、隣接するZoneを削除したのが原因です。

外壁が「間仕切り」に設定されている
外壁が「間仕切り」に設定されている

この場合は、外壁として設定を下図のように変更します。

  • Construction:EXT_WALL
  • Outside Boundary Condition:Outdoors
外壁として再設定
外壁として再設定

間仕切りや内部開口の設定に問題があるケースでは、関係するZone側でもエラーが発生します。

今回の例では「adjacent window(additional windows) not found 」のエラーは、ROOM1, ROOM2の両方のZoneで発生しています。この場合は、片方で修正作業を行えば解決できます。

修正作業のヒント

TRNSYS3Dでエラーの発生箇所を確認するにはSearch Surfacesの機能が役立ちます。

まとめ

TRNSYS3Dで作成したモデルは、Surfaceごとに設定された情報から、TRNBuildのモデルに変換されます。

うまくインポートできない場合は、エラーメッセージを確認して修正を行ってください。

動作環境

以下の環境で動作を確認しています。
Windows10 Pro(64bit, 1909)
TRNSYS18.02.0000(64bit)

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