TRNSYSでPMVのDetailed modelの設定
2019/5/26 誤植修正 “Detailed mode” → “Detailed model“
同じ室内でも、窓付の近くは暑く感じるけど、部屋の奥は涼しいってことありますよね?
このあたりの感覚は室温や湿度の他、壁や窓などの表面温度が影響します。
快適性指標の1つ、PMVで評価する場合、TRNSYSではMRT(平均放射温度)の計算方法を指定した計算が可能です。以前に紹介したPMVの計算では、MRTは面積按分で計算していました。(つまり、同じ室内の位置の違いは考慮されていません)
今回は室内の位置による影響を考慮して計算する方法の紹介です。(Comfort typeやOutputの指定は前回の投稿を参照して下さい)
MRT(平均放射温度)
さて、MRTとは。。。
(エ) 熱放射
周囲の表面温度が低ければ気温が高くても快適になる。 その放射環境を表現するた めに、平均放射温度という概念が用いられる。 平均放射温度(MRT)とは、周囲の 全方向から受ける熱放射を平均化した温度表示を言う。
以上、環境省のサイトより引用
ということで、このMRTの計算方法を指定します。
下の図は実際にPMVの計算にMRTを指定した例です。Detailed modelを選択して、MRTを計算する位置を指定しています。後述しますが、この例では同じ室内で4箇所のPMVを計算しています。
ZoneのRadiation Mode設定
計算する位置の放射の計算が前提になるので、ZoneのRadiation modeは対応したDetailed modelを選択します。
位置情報の設定
Detailed modelではMRTを計算する位置の情報が必要です。これで窓側とか部屋奥の指定を行います。MRTの計算位置の指定は次の手順で行います。
- 計算位置をGeoPositionを使って定義する。
- ZoneへComfort type, GeoPositionを割り当てる
では設定を始めます。
GeoPositionの定義
例によって2室モデル演習のモデルを使用します。図のように窓際から1m間隔でGeoPositionを4つ定義します。
図の配置位置に合せてGeoPositionを追加します。
- Navigatorの「Geo-Info」をダブルクリックして設定画面を表示する
- Point Geometryで「gain, comfort」を選択する
- 「+」ボタンをクリックして、新しいGeoPositionを追加する
- GeoPositionを配置するZoneを選択する
- Comfort typeで使用するため、「comfort」を選択する
- 配置する位置を座標で指定する※
※座標は上の平面図の左下隅が座標原点(0/0/0)です。図面に合せて位置を指定します。高さは任意ですが、ここでは高さ1mで統一します。
ZoneへComfort type、GeoPositionを割り当てる
ZoneへComfort typeを割り当てる際に、「detailed model」を選択して、GeoPositionを割り当てます。
PMVの出力設定
これでGeoPositionの指定は終了です。あとはOutputを追加して計算を行います。
- PMVを計算するZoneを選択します。この例ではROOM1を選択する。
- Comfort outputsの項目を選択する。
- 出力項目からPMVを選択して追加。
- 「Additional Data」の項目(空白になっている部分)をダブルクリックしてComfort typeの設定画面を表示する。
※3.でTMR(MRT,平均放射温度)やTOP(OT,作用温度)を選んで、同じ手順で設定することができます。
画面右側のリストのComfort Typeをダブルクリックして追加します。(この例ではすべて追加します)
ということで、下図はType65 Online Plotter でPMVの計算結果を出力した例です。(2月下旬の2日間を抜粋)
同じ建物、 同じ室内でも位置によって異なる結果になっていることが分かります。 このようにGeoPositionを指定することで、室内の位置による快適性の計算が行えます。
PMV,MRT,OT,SET,PPDの出力例
動作環境
以下の環境で動作を確認しています。
Windows10 Pro(64bit, 1809)
TRNSYS18.01.0001
2件のピンバック
TRNSYSでPMVを計算する – 建築環境工学系日記
TRNSYSの快適性指標 | 建築環境工学系日記