TypeStudioで作るTRNSYSコンポーネント(2)
Proforma(プロフォルマ)の作成
さて、まずはじめにコンポーネントを作成する前にProformaを用意します。普段はあまり意識しないProformaですが、Simulation Studioでコンポーネントとして見ているアイコンの実体がProformaです。
そもそもProformaって何?
Simulation Studioでコンポーネントの設定で使う図のような画面(Variables Window)が表示されますが、この画面に表示される内容を定義しているのがProformaファイル(拡張子.TMF)です。
TRNSYSのコンポーネントの実体はFORTRANのサブルーチン(C言語だと関数)に相当します。ProformaはSimulation Studioの画面とサブルーチンのデータ(Parameters,Inputs,Outputs)の橋渡しルールを定義しています。
計算式の準備
まずは、これから作成するコンポーネントの式を用意します。今回はドキュメントに載っているシンプルなヒーターの式を例にProformaを作成します。
Tset 設定温度
Tin 入口温度
m 流量
Cp 比熱
Q 負荷
TRNSYS18, Vol.7 Developer’s / Programmer’s Guide, p7-17, Eq.7.3.1-1 より
さて、この式を元にコンポーネントのProformaを作っていくわけですが、はじめにそれぞれの値をPrameter,Input,Outputに割り当てていきます。
Qは計算結果なのでOutputで問題なさそうです。m, Tset, Tinは時系列で変化する値としてInputに割り当てます。Cpは時系列で変化するならInputで、それほど影響がないようであれば固定値でParamterで扱います。今回はParameterで扱うことにします。
値の割り当てを整理すると次の表のようになります。
Name | Role | Dimension | Unit | Def. |
m | input | Flow Rate | kg/hr | 100.0 |
Tset | input | Temperature | C | 50.0 |
Tin | input | Temperature | C | 20.0 |
Cp | parameter | Specific Heat | kJ/kgK | 4.190 |
Q | output | Power | kJ/hr | 0.0 |
※デフォルト値(Def.)はInputでは初期値として使われるので、それっぽい値に設定します。Cpはここでは水の比熱です。
Proformaを作成する
Simulation StudioでProformaを作成します。
① メニューから[File]-[New]を選択する。
② 表示されるウィンドウで「New Component」を選択して、
③ Createボタンをクリックする。
Proformaのウィンドウが表示されるので、式に合せて設定を行います。はじめに「General」タブのType Numberの項目にType番号を指定します。ここでは201を指定してください。
次に、「Variable」タブで、「Variables(Parameters, Inputs, Outputs, Derivatives)」ボタンをクリックして、設定画面を表示します。
Inputの項目を追加します。「Inputs」タブを選んで、画面右のAddボタンをクリックして新しい項目を追加します。
先ほどの表に合せてInputsの項目を3つ追加、設定します。
つづいて、同じように「Outputs」タブで項目を一つ追加、設定します。
そして最後に「Parameters」タブで項目を一つ追加、設定したらOKボタンをクリックしてウィンドウを閉じます。
メニューから[File]-[Save]を選択してProformaを保存します。
① 保存先として新しいフォルダ”C:\TRNSYS18\Studio\Proformas\MyComponents “を作成します。
② ProformaをType201Heater.tmfという名前で保存します。
Simulation Studioのメニューから[Direct Access]-[Refresh tree]を選んで、ツールバーにType201Heaterが表示されればProformaの完成です。
この段階で、すでにコンポーネントとして配置、他のコンポーネントと接続できる状態です。ただし、実行してみると図のようなエラーになります。
Proformaは出来上がったものの、コンポーネントの本体、つまり計算処理の部分は作成されていないためエラーになります。
次回は、計算処理の部分を作成します。つづく。
動作環境
以下の環境で動作を確認しています。
Windows10 Pro(64bit, 1803)
TRNSYS18.00.0019(64bit)
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