TRNSYS,TRNBuildで地面の温度を扱う

地面側の部位の設定

建物の地面側の温度って割と重要です。土間床になっている建物、例えば倉庫などではかなり室温に影響がでます。地面側の温度が低ければ、その影響で室温は低くく抑えられ、夏期は冷房負荷は少なくなります。冬期も同じ理由で床から熱が逃げるため暖房負荷は増えます。

TRNSYS/TRNBuildでは基礎や地下室など地面に接している壁は境界条件として扱います。

設定は至って簡単で、TRNBuildで壁のCategoryBOUNDARYで、boundary conditionに地面側の温度を指定します。

以下の例では、境界条件として外部からの入力値(TGROUND)が地面側の温度として割り当てられています。

例)C:\TRNSYS18\Examples\3D_Building

  1. 床面(基礎)を選択すると、
  2. CategoryをBOUNDARYになっているのが確認できます。
  3. ここでboundary conditionの項目で地面側の温度が指定されてます。
Boundary Conditionの設定
Boundary Conditionの設定

※”C:\TRNSYS18\Examples\3D_Building\6_Step_Add_Daylight\Building_step6.tpf”より

既存の壁に境界条件を設定する

CategoryがBOUNDARY以外の壁に境界条件を設定する場合は、TRNSYS3D(SketchUp)へ戻って設定を行います。

  1. TRNBuildからIDF形式のファイルをエクスポートする。
  2. TRNSYS3Dで開いてObject Info を表示、対象の壁を選択して、
  3. Object Boundary Condition で Other Side Coefficients を選択。
  4. Outside Boundary Object で Boundary=INPUT 1*TGROUNDなど温度を指定できる項目を選択する。
  5. TRNSYS3DでIDF形式で保存、TRNBuildへ再びインポートする。
床面を選択して境界条件を指定する
床面を選択して境界条件を指定する

地面側の温度

地面側の温度は何らかの方法で計算した値、もしくは固定値で指定します。計算する期間が短ければ固定で指定するのもありかと思いますが、おそらく季節変動などを見込んだ値にしたいケースがほとんどだと思います。こういった場合は、外部のコンポーネントを使って、Input経由で値を取り込みます。

図はExamples\3D_Buildingの例ですが、Type77(Simple Ground Temperature Model)で地面側の温度を計算、Type56へ引き渡しています。Type56側では上の図のようにTGROUNDで受け手取って、地面側の温度として処理しています。

Type77で地面側の温度を計算する
Type77で地面側の温度を計算する

地面側の温度の計算

Type77の他、地面側の温度の計算方法はいくつか考えられます。TRNSYS-USERSで調べると “f factor” approach(日本語で何というのか不明)という方法が紹介されています。

Type77は年間の平均温度温度振幅だけで計算できるのでお手軽ですが、地下室などでは深さによっても温度が変わってくるはずです。

すべてのケースにType77を当てはまるのはどうかという気がします。地面側の温度は建物や気象条件、土の種類、計算の目的なども含めて検討してみてください。

2018/1/30追記

後で気がついたのですが、Type77では地表面からの深さを複数指定できます。下の図は0.5m, 1.0m, 1.5mの3箇所の温度を計算した例です。地表面に近い基礎部分は浅い深さの温度、地下室の壁や床は深めで計算した値を指定して計算するのもありかもです。

複数の深度を指定して計算
複数の深度を指定して計算

一年分計算すると、深さに応じて変動したカーブが描かれます。

年間の温度変化
年間の温度変化

その他の方法

他の方法として、拡張アメダス気象データのツールで予め計算、そのデータを利用する方法もあります。(計算結果をファイルに書き出して、それをType9で読み込んで計算するなど)

その他、TRNSYSで地面側の温度の計算に利用できるコンポーネントを紹介します。

・標準コンポーネントType 49: Slab on Grade

詳細はマニュアル「4.6.4. Type 49: Slab on Grade」を参照

参考:TRNSYSで地中温度 https://www.kankyoukei.com/2011/10/trnsys_20.html

・TESS Individual Component Libraries(オプション)
Type1276 “Be All End All” Ground Coupling

http://www.trnsys.com/tess-libraries/individual-components.php

※日本国内でのお取り扱いはこちらの窓口まで。

動作環境

以下の環境で動作を確認しています。
Windows10 Pro(64bit)
TRNSYS18.00.0017(64bit)

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