TRNSYS18のTypeStudioとIntel Visual FORTRAN
TRNSYS18からコンポーネントの開発用の専用ツール(FORTRANコンパイラ)が標準添付します。コーディングからビルド、DLLの配置まで手軽にできるので、コンポーネントの開発が非常に楽になります。
とはいえ従来のIntel Visual FORTRAN(以下、IVF)で行っていたコンポーネント開発に比べて制限もあります。主な項目を比較してみました。
機能 | TRNSYS/TypeStudio | Intel Visual FORTRAN |
コンポーネント開発 | ✔ | ✔ |
デバッグ | × | ✔ |
TRNDLLリビルド | × | ✔ |
32bitコンポーネント | × | ✔ |
64bitコンポーネント | ✔ | ✔ |
外部ライブラリ | × | ✔ |
DLL配置 | ✔ | △ |
ちょっとした開発にはTypeStudio、本格的な開発にはIntel FORTRANというところですかね。
開発するコンポーネントの内容や使用環境に合わせて、ケースバイケースでどちらを使うか検討しましょう。以下、表の各項目をもう少し詳しく解説します。
コンポーネント開発
TypeStudio, IVFのどちらでもコンポーネントの開発が可能です。
デバッグ
TypeStudioでは処理の途中で変数の値を調べたり、ステップ実行したりと言った、いわゆるデバッガーの機能がありません。(そのうち付くかも知れないですが。。。)
一方、IVFはもともと本格的な開発ツールなので、非常に強力なデバック機能を備えています。
TRNDLLビルド
TypeStudioはコンポーネントの開発専用です。TRNDLL(TRNSYSの本体)のビルドには対応してません。IVFでは従来通り、TRNDLLのビルドが可能です。
32bitコンポーネント
TRNSYS18よりTRNSYSは64bit化(※)されています。このため、今後は32bitのコンポーネントを作る機会は少なくなると思います。TypeStudioは64bit版のツールのため,32bitコンポーネントにビルドには使用できません。IVFでは従来通り32bitコンポーネントのビルドが可能です。※32bit版のOSに対応した32bitはサポートサイトよりダウンロードできます。
64bitコンポーネント
TypeStudio、IVFともに64bitコンポーネントのビルドが可能です。
外部ライブラリ
コンポーネントによっては外部のライブラリ、例えば数値計算や他のシミュレーションソフトウェアのライブラリを参照したいケースがあると思います。IVFは汎用的なツールでなので問題ありません。
TypeStudioは専用ツールのため参照できません。
DLL配置
TypeStudioではビルドしたDLL(コンポーネントの本体)をTRNSYSのフォルダに自動的に配置します。フォルダの構成を意識せず、すぐにSimulation Studioで配置、利用することができます。IVFではビルドのモード(Release,またはDebug)に合せて、出力先を調整します。
以上、TRNSYS18.00.0012で確認