TRNSYS18 新機能概要(6)昼光シミュレーション,材料定義,昼光センサー
前回に引き続いて新機能概要の第4章の続きです。今回は昼光シミュレーション機能についてです。昼光シミュレーションを行うため、窓のデータにRadiance形式の材料データの割り当てが必要になります。
4.2. 昼光シミュレーションの統合
TRNSYS 18は、DaySIMに基づいた昼光シミュレーションの統合オプションを提供します。DaySIMは、ビル内および周辺の昼光の年間量をモデル化する、検証済みのRadianceに基づく昼光解析ソフトウェアです。(daysim.ning.com, www.radiance-online.org )
DaySIMアプローチにより、各センサーポイントの昼光係数は、Radianceフォーマットの幾何形状および材料定義に基づいて前処理ステップで生成されます。シミュレーション中に、昼光係数を使用してセンサーポイントの照度が計算されます。
昼光モデルは、熱モデルと同じ3D幾何学データに基づいています。熱のモデルを出発点として昼光シミュレーションを行う事ができます。 以下は、昼間シミュレーションのためのTRNBuildの基本ステップを示しています。
- Radianceの材料定義
- サーマルゾーンの昼光モードの定義
- 昼光センサーの定義
- Radianceファイルの生成
- 昼光関連の出力
4.2.1 Radianceの材料定義
昼光シミュレーションでは、radianceの材料名をconstruction typeへ割り当てる必要があります。ただし、窓(Window type)以外の材料(Construction type)では、可視光吸収率は日射吸収率と等しいと仮定します。このため、追加の昼光特性データは必要ありません。
Window typeでは、昼光プロパティのオプションをradianceの材料名で定義するためWindow Typeダイアログが拡張されています。Radianceの材料名は、日射遮蔽あり、日射遮蔽なしの2つの状態それぞれに割り当てる事ができます。
材料名を選択するには、 “open radiance material file “ボタンをクリックし、表示されたウィンドウで、適切な材料名を検索して名前をコピーします。 例えば、「glass_80」を検索して、コピーし、入力ボックスへ戻って貼り付けます。材料「glass_80」は、80%の可視光線透過率の窓ガラスであることを表します。ユーザーは、必要に応じてradianceの材料をライブラリに追加することができます。
注:ファイルヘッダーに記載されているradiance材料ファイルの構文が満たされている必要があります。
ダイアログには日射遮蔽のない状態のradiance材料の選択の参考情報として、グレージングの可視透過率が表示されます。
Window Typeに日射遮蔽装置が何もない場合は、日射遮蔽なしと同じradiance材料を、日射遮蔽ありへも割り当てる事ができます。
日射遮蔽ありの状態について詳細な情報がない場合、可視光透過率に日射遮蔽率(shading factor)を乗じた値が候補になります。
注:昼間の可視透過率は人間の目の分光感度のために全可視範囲を表すものではなく、2バンド熱モデルで使用される特性とは異なります。ほとんどの場合、昼光の可視光透過率は出版物に記載されており、グレージングデータベース(4.1.3節参照)に保存されています。
######################################################
radiance material file ######################################################
#
# syntax description:
# '#' - to start a comment lines
#
# each material description starts with a line: void material name
# with
# void - key word for defining a radiance material
# material
# - glass (transparent material)
# - plastic (opaque material with uncolored highlights)
# - metal (similar to plastic, but specular highlights are modified by …
# - mirror (used for reflecting planar surfaces)
# name - referenced for TRNSYS Type56 daylight material definition
#
# see material syntax in each section
# see also http://radsite.lbl.gov/radiance/refer/ray.html #####################################################
########### glazing #####################################
# glass_ syntax description : #############################
# void glass name
# 0 0 3 transmissivity_red transmissivity_green transmissivity_blue
…….
# glass_80
# visual transmittance: 80% #
visual transmissivity: 87.15%
void glass glass_80
0
0
3 .8715 .8715 .8715
Figure 10: Window Type manager – radiance material file
4.2.2. サーマルゾーンの昼光モードの定義
Zone内※に定義されたdaylight sensor pointで照度を計算するため、統合ツール ” Generate radiance files “(セクション4.2.4を参照)によって2つの設定セットが生成されます。
• Unshaded
Window typeで定義された「unshaded」のradianceの材料プロパティが使用されます。
• Shaded
Window typeで定義された「shaded」のradianceの材料プロパティが使用されます。 ※airnodeではない点に注意 シミュレーション中にこの設定を切り替えるための2つの制御モードを選択できます。
• Basic control
Zoneに含まれるすべてのExternal shading device、Internal shading deviceが、shading factor> 0.01であれば「shaded」の構成が使用されます。
• User-defined control
シミュレーション中に「shaded」、「unshaded」の2つの構成を切り替えるために、独自の制御方法を設定することができます。指定された値が0であれば「unshaded」が、1であれば「shaded」が使用されます。
制御信号の確認には出力項目のDLSHADE(昼光の日射遮蔽制御信号)を使用することを推奨します。 (NType403)
4.2.3. 昼光センサーの定義
daylight sensor point(昼光センサーポイント)の位置は、快適性計算のGeoPostionsと同様にGeo-Infoダイアログで定義します。