TRNSYS18 新機能概要(2)パッケージ構成、TypeStudio
前回に引き続き、TRNSYS18の新機能概要です。ドキュメントの改訂と新しく追加されたTypeStudioのご紹介です。
2. パッケージ
2.1. TRNSYSを有効活用するためのドキュメント
マニュアルのほとんどが、初心者がTRNSYSを使い始める際に役立つように書き直されています。 既存のチュートリアルのドキュメントを別のボリュームに移動し、さらに詳細な建物/ HVACプロジェクトを含む新しいチュートリアルを追加しています。多くの例題が追加され、詳細なドキュメントとともにまとめられています。 Mathematical referenceでは、パラメーター/入力/出力項目と各コンポーネントを使用するためのヒントとコツが追記されました。
補足解説
今回のバージョンでは、より分かり易いドキュメントがテーマの一つになっています。初心者向けとありますが、TRNSYSの初心者という意味なので、チュートリアルは割としっかりした内容になるようです。
2.2. 統合型TRNSYS専用Fortranコンパイラ(TypeStudio)
TypeStudioは、新しいType(コンポーネント)を簡単に作成するためのグラフィカルインターフェースとFortranコンパイラから構成されます。
TypeStudioでは、作業用に1つまたは複数のTypeを含むワークスペースを作成、および管理します。ユーザーはこれを使って、TRNSYSエンジンがシミュレーションで使用可能なダイナミックリンクライブラリ(DLL, Dynamic Link Library)をビルドし、適切なフォルダに配置することができます。
補足解説
FORTRANコンパイラが標準添付になります。しかもTRNSYSのコンポーネント作成に特化したツールになっているので、簡単な操作でコンポーネントのコーディング(記述)、ビルド、フォルダへの配置が行えます。従来は別途 Intel FORTRANコンパイラを入手する必要がありましたが、TRNSYSのパッケージの中に専用のコンパイラが含まれます。気軽にコンポーネントが作れるので、Equationでは少々難しい計算は試しにコンポーネントにしてしまうことも簡単です。
とはいえ、TRNSYS本体(TRNDLL.DLL)のビルドには引き続きIntel FORTRANが要るようです。また、複雑な処理を行うコンポーネントの開発にはIntel FORTRANのような強力な開発環境は力を発揮します。目的によって使い分ける事になると思います。