TRNBuildとは(1) 概要

TRNSYSで建物など、多数室のモデルを扱う場合にはType56を使用します。TRNBuildは、そのType56(多数室モデルのコンポーネント)の専用のアプリケーションです。他のコンポーネントで専用アプリケーションが用意されているものはないので、Type56はTRNSYSのコンポーネントの中でも特別扱いになっています。

一般的なコンポーネントでは、ParametersやInputsで必要な値を設定、受け取って計算を行います。よく下のような図を使ってコンポーネントの説明をしますが、機器の仕様や計算に必要な定数(Parameters)や、気象条件など時間によって変化する値(Inputs)で計算に必要な値を設定します。

一般的なコンポーネント
一般的なコンポーネント

シンプルな仕組みですが、この仕組みで大部分のコンポーネントは扱えます。ところがType56のように多数室モデルを扱う場合、設定項目が多岐にわたります。項目を書き出してみると。。。

  • Layer(材料物性値)
  • Wall(壁体構成)
  • Window(ガラス、窓枠)
  • Zone(室)
  • Schedule(内部発熱や換気のスケジュール)
  • Ventilation(換気)
  • Infiltration(漏気)
  • Gain(在室者や内部発熱)
  • Cooling/Heating(暖冷房)
  • etc…

項目も多いですが、それぞれに詳細設定が用意されています。ParametersやInputsで扱うのは少々手に余ります。このため多数室モデルでは、これらの設定をデータファイルとしてコンポーネントの外で扱っています。(他にもデータファイルを扱うコンポーネントはありますが、Type56の項目の多さは特出しています)

e56とデータファイル
Type56とデータファイル

このデータファイル(.b17ファイル)の編集用に用意されているのがTRNBuildです。 下図はTRNBuildの画面ですが、Zone(室)の定義情報や壁や窓の寸法や物性値、また、内部発熱の種類や条件など、さまざまな設定項目が並んでいます。Parameters,Inputsで扱うには少々項目が多いことがおわかり頂けると思います。

RNBuildの画面
TRNBuildの画面

TRNBuildで諸条件を設定し、気象条件や外部の設備機器からの値など、外部からの値は通常のコンポーネント同じく、InputsとParametersを使って受け取る仕組みになっています。

さて、ということで次回へつづくかもよ。。。

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