TRNSYSのドキュメント構成
2024/01/11 ドキュメントの概要説明を追記
2020/09/16 TRNSYS18の内容に更新
TRNSYSのドキュメントの話です。
一般にシミュレーションのツールって、アプリケーションの使い方はあたりまえとして、計算方法の「中身」についての記述に非常に多くのページが割かれています。
これって、テレビの取説に液晶パネルの技術解説書がついてくるようなレベルです。研究用途のツールでは使われている計算式や処理方法など詳しく「中身が見える」というのが重要なポイントのようです。
TRNSYSもご多分に漏れず、大量のドキュメントが添付します。PDF形式で添付されるものの他、HTML形式だったり、はてはソースコード(←ドキュメントか?)まで含め大量に用意されています。
でも、困ったことに慣れるまで、どこに何があるのか分かり難いんですよね。ということでまとめてみたいと思います。
基本はPDFドキュメント
アプリケーションの使いたや、TRNSYSのデータフォーマット、コンポーネントの機能についてPDF形式のファイルが用意されています。
スタートメニューやSimulation Studioの[?]-[Help]メニューの2か所から呼び出すことができます。
Vol.1 Getting Startedから始まって、Vol.10 Examples、それとオプション数冊の構成です。
印刷すると、それぞれ数センチほどの書類の山ができあがります。まともに読み始めるとかなりつらい量です。
ドキュメント構成
各ドキュメントの内容は以下の通りです。
ドキュメント | 内容 |
---|---|
Vol.01 Getting Started | TRNSYS 18 の使用を開始するための簡単ガイド |
Vol.02 Using the Simulation Studio | Simulation Studioの使用方法についての解説 |
Vol.03 Standard Component Library Overview | 標準コンポーネントライブラリの概要説明 |
Vol04. Component Mathematical Reference | 標準コンポーネントライブラリの詳細情報 |
Vol.05 Multizone Building(Type56 – TRNBuild) | 建物モデル(Type56)の説明 TRNBuildのユーザーガイド |
Vol.06 Editting the Input File and Creating TRNSED Apps | TRNEdit、およびTRNSEDアプリケーションの作成方法の解説 TRNSYS入力ファイル(Dckファイル)の解説 |
Vol.07 Developer’s /Programmers’s Guide | TRNSYSコンポーネント開発者向け情報 TypeStudioの解説 |
Vol.08 Weather Data | 標準添付の150カ国以上、1000地点以上の気象データの解説 |
Vol.09 Tutorials | TRNSYSのチュートアリル |
Vol.10 Examples | サンプルプロジェクト |
マニュアルの検索機能
何か調べるには右上に検索ボタンが用意されているので、ここからキーワードを指定して検索するのが効率的です。
慣れてくると、目的の情報が、どのマニュアルにあるのか、だんだん見当がつくようになります。
コンポーネントの機能を調べる
コンポーネントの詳細については、次のPDFのドキュメントに詳しくまとめられてます。
- Vol03. Standard Component Library Overview(概要)
- Vol04. Component Mathematical Reference(詳細)
実際にSimulation Studioで利用する際の補足的な情報は以下の機能で確認することができます。いくつかあるので、覚えておくと簡単にパラメーターやInputの確認ができます。
Proforma
コンポーネントを選んで、右クリックで[Proforma]を選ぶと図のようなウィンドウが表示されます。これの「Description」タブを見るとコンポーネントの概要が書いてあります。なんのためのコンポーネントなのか確認することができます。
Variable Window
コンポーネントをダブルクリックすると、表示されるウィンドウです。頻繁に使うウィンドウなので解説不要かと思いますが、Parameters/Inputs/Outputsを確認することができます。
ここで、「more」ボタンを押すと、さらに個々の詳しい解説が表示されます。意外とこの機能は知られていないません。パラメーターの意味など不明な場合は、ここで表示される説明が参考になります。
Export as HTML…
前出のProformaのウィンドウを表示した状態でメニューから[File]-[Export as HTML…]を選ぶと、コンポーネントのParameter,Inputs,Outputsなどの説明が、まとめて一つのHTMLとして書き出されます。
このファイルをブラウザで開くと、コンポーネントの機能が一気に見渡せて読みやすいドキュメントになります。
以前は独立した一冊のドキュメントにまとめられていたのですが、いつのころからかHTML形式になりました。
おそらくコンポーネントの数が多く、また、バージョンアップにともなう更新が大変なので、この形式になったのだと思います。
ソースコード
これ見ると、実際何をどうしているかハッキリするので、ある意味究極の仕様書とも言えます。
通常は、以下のフォルダに、TRNSYSの基本処理から、コンポーネントなど内容別に収められています。
- C:\Trnsys18\SourceCode
新しいコンポーネントを作る際には、似た処理を行っているコンポーネントが参考になります。
マニュアルに記載があると言っても、初めて使う関数など、実際に動くいているコンポーネントのソースコードは貴重な情報源と言えます。
以上、いろいろな情報が用意されているので、状況に応じて利用すると、効率的に作業を進めることができます。
動作環境
以下の環境で動作を確認しています。
Windows10 Pro(64bit, 2004)
TRNSYS18.02.0002(64bit)
1件のピンバック
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