TRNSYS入門(3) アプリケーションの構成
前回、モジュラーアプローチについて説明しました。TRNSYSでは基本的な計算機能や機器をモジュール、あるいはコンポーネントと呼ばれる単位で提供されると書きましたが、他にもTypeという呼び方もあります。
少々紛らわしですが、TRNSYSのドキュメントでは特に区別していなければ基本的に同じ物を指します。
今回からはモジュールを並べて何か動くものを組み立ててみたいと思います。さてその前に、使用するアプリケーションの紹介です。
TRNSYSのアプリケーション
TRNSYSには計算を行うためのアプリケーションが複数提供されています。それぞれ計算の目的や内容応じて使い分けます。
- Simulation Studio
コンポーネントの配置、接続、そしてシミュレーションの実行を行うアプリケーションです。
基本的にこのアプリケーションだけあればTRNSYSの計算の組立から実行まで行えます。ほとんどの作業はこのツールから行うため、TRNSYSというとこのアプリケーションの画面を思い浮かべる方が多いようです。
- TRNBuild
住宅やオフィスなど建物を扱う場合にTRNSYSではType56(Multi-Zone Building)というコンポーネントを使用します。いわゆる多数室モデルを扱うコンポーネントです。
多数室を構成する部屋や壁の材料など物理的な条件、在室者や照明など発熱体や換気など時間によって変化する条件など、計算に必要な設定を行います。他のコンポーネントに比べると遥かに設定項目が多いため、専用のアプリケーションが用意されています。
このアプリケーションで建物データの作成、編集を行います。
- TRNSYS3D
多数室モデルを作成するためのアプリケーションです。SketchUpのプラグインとして動作します。TRNBuildで建物のデータを作成する際に、その前段階として3Dの画面上で建物の形状を入力することができます。(TRNbuildでも形状データの入力は可能ですが、図面からの拾い出し&入力になります。TRNSYS3Dでは形状を効率良く作成することができます。)
- TRNEdit
TRNSYSで計算を実行する際に使用するDckファイルの編集アプリケーションです。
前々回、すこし触れましたが、Simulaiton Studioで計算を行う場合、Dckファイルはバックグランドで自動的に生成されます。と言うことで普段はあまりお目にかかりませんが、計算ごとに必ず作成されています。
DckファイルはTRNSYSの計算エンジンに対して、どういう順番で計算を行うのか、具体的に定義したファイルです。言ってみれば計算の指示書です。
中身はテキストファイルなので、メモ帳などで開いて見ることができます。このファイルを書き換えて、条件を変更して実行することも可能です。
詳しくは以前のエントリ(TRNEditで条件を変えてTRNSYSを繰り返し実行する)を参照して下ください。
次回はSimulaiton Studioを使って基本的な操作方法をご紹介したいと思います。
つづく。
関連リンク:
TRNSYS入門(1) TRNSYSとは?
TRNSYS入門(2) TRNSYSの仕組み
TRNSYS入門(3) アプリケーションの構成
TRNSYS入門(4) Simulation Studioの基本操作
4件のピンバック
TRNSYS(2) TRNSYSの仕組み – 建築環境工学系日記
TRNSYS(4) Simulation Studioの基本操作 – 建築環境工学系日記
TRNSYS(1) TRNSYSとは? – 建築環境工学系日記
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