TRNSYS入門(2) TRNSYSの仕組み
2019/05/21 開催中の『TRNSYS18入門オンラインセミナー』(無料)に合せて記載内容を最新情報へ更新
TRNSYSは、前回でも触れたように汎用の計算ツールです。特定の計算だけではなく、目的に応じた計算が行えるようになっています。 その仕組について、今回はまとめてみたいと思います。
モジュラーアプローチ
さまざまな計算に対応するため、TRNSYSではモジュラーアプローチと呼ばれる仕組みを採用しています。
TRNSYSでは特定の目的に合わせた計算ではなく、シミュレーションに必要な機能を、基本的な計算や、機器のレベルまで分解したものをコンポーネント、あるいはモジュールと呼ばれる部品で提供します。
コンポーネントは、例えば太陽熱集熱器であったり、空気線図、ファイルの読み込みやグラフを描くものなど様々な物が用意されています。
コンポーネントは入力(Inputs)として、なにかデータを入力すると出力(Outputs)として答えを返します。このInputs/Outputsをつなぎあわせてデータ流れ、つながりを記述してシミュレーションを組み立てていきます。
コンポーネントの構造
コンポーネントの実体はシステムシミュレーションや環境工学で使われる一般的な式や処理です。(プログラム的にいえば関数やサブルーチン、メソッドと呼ばれる物に相当します。プログラミング経験のある方には、関数の接続関係を画面上で接続するイメージで捉えると分かり易いかも知れません)
コンポーネントは他のコンポーネントと接続するためのインターフェースが統一されています。上の図ではInputs,Outputsとあるのがそれです。これ加えてParametersで様々な機能を扱います。
下の図はヒーター(Type138)の例ですが、このコンポーネントで使われている式の定数がParameters, 時間によって変化する変数がInputs, 計算結果がOutputsとして割り当てられます。
具体的な機器(太陽熱集熱器)を例にすると、その機器の集熱面積や特性など、固定(時間によって変化しない)の値をParametersで、集熱入口温度や外気温など、時間で変化する値をInputsで扱います。
コンポーネントの処理内容の詳細
Parameters,Inputs,Outputsで扱われるコンポーネントですが、実際にどのような計算、処理が行われているかについては、TRNSYSに添付するドキュメントにすべて記載されています。また、使用されているソースコードも添付します。
ドキュメント、ソースコードの両方で公開されていますので、研究用では計算の妥当性やソースコードの処理の確認、場合によっては改良することができます。
下の図は太陽熱集熱器のモデルの例です。並べられたアイコンの一つ一つがコンポーネントです。そのコンポーネントをつなぐ矢印線、これがコンポーネント間のデータの流れを表しています。
例)太陽熱集熱器モデル
見た感じで、真ん中にあるのは集熱器だな、とか、その横にあるのはヒーターだな、とか、構成される機器と、データの流れが見て取れます。モジュラーアプローチでは、このようにモジュール/コンポーネントをならべて組み立て行きます。
次回は、実際にコンポーネントを並べて計算を実行するまでのながれを具体的に見ていきたいと思います。 つづく。
関連リンク:
TRNSYS入門(1) TRNSYSとは?
TRNSYS入門(2) TRNSYSの仕組み
TRNSYS入門(3) アプリケーションの構成
TRNSYS入門(4) Simulation Studioの基本操作
4件のピンバック
TRNSYS(3) アプリケーションの構成 – 建築環境工学系日記
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