TRNSYSのRadiation Depending Shading Controlで日射遮蔽の制御
2020/07/09 TRNSYS18版へ更新
TRNSYS17.1から利用できる「Radiation Depending Shading Control」を試してみました。
これ何かっていうと、窓面に当たる日射量でShading Device(ルーバーやブラインドなど)の開閉状態をコントロールする機能です。日中の強い日差しはルーバーやブラインドを閉じて、でも朝晩は開けておきたいって事ありますよね?省エネにもなりますし、そういう処理を行う機能です。
試しに作ってみたのは以下のようなシンプルなモデルです。
Radiation Depending Shading Control用にEquationで開閉の判定に使用する日射量とShading factorの値を設定しています。
SHADE_CLOSE = 140 * 3.6! Close blinds - radiation on facade in [W/m2 * 3.6]=[kJ/hr]
SHADE_OPEN = 120 * 3.6! Open blinds - radiation on facade in [W/m2 * 3.6]=[kJ/hr]
ShadingFactor = 1
日射量については計算式が入っていますが、これは単純にW/m2からkJ/hへの単位換算のためです。
それとShadingFactorは1で全閉を設定しています。
そして、Type56/Window Typeで、Radiation depending shading controlの項目を図のように設定します。
さきほどのEquationで設定した値を受け取って、開閉する日射量としています。
ところで、Shading Deviceを閉じる日射量と開く日射量を独立して設定できるようになっています。開閉のタイミングなんだから値は一個じゃないのって気になります。これちょっとわかりにくいですが、仕組みとして日射量と開閉は図のような判定になっています。
Shading Deviceが開いている状態から閉じるタイミングと、逆に閉じていた状態から開くタイミングの値を個別に指定できます。この図の閉じている状態の時にShading Factorが適用されます。
そして、このWindow Typeが設定されているWindowでExternal shading factorでIntegrated radiation control acc. to window typeを選択します。
これで窓の外側に可動ルーバーのような日射遮蔽がある条件になります。(室内のブラインドやカーテンなどの日射遮蔽を扱う場合は、internal shading factorで同じ設定をします)
で、確認のため実行した結果をCSVへ書き出してみたのがこちら。
窓面に当たる日射量(IT_S7)と室内側に吸収される日射量(QTSABS)の値で比較しています。窓面の日射量がCloseで指定した値を超えると、室内側の日射量が0、つまりShading Deviceが閉じて日射を遮っている様子が確認できます。
いままで、こういう開閉は窓単位で工夫が要りましたが、Window Typeとして開閉状態をまとめて設定できるので格段に手軽になりました。
今回使用したサンプルのダウンロードは、こちらから。
Radiation depending shading controlの使用例
動作環境
以下の環境で動作を確認しています。
Windows10 Pro(64bit, 2004)
TRNSYS18.02.0002(64bit)